みんなで国に理想を掲げよう

このたび、"国の理想ネットワーク"では、本書の趣旨を広く呼びかけるために「みんなで国に理想を掲げよう~国際環境平和国家を目指して」を掲載いたします。一人でも多くの方に本書とともにご一読いただき、共感の環が広がっていくことを心から願っています。ご意見・ご感想などありましたら、お寄せいただければ幸いです。

 

みんなで国に理想を掲げよう~国際環境平和国家を目指して

 

私たちは皆抱いている。
平和の夢を。
生きとし生けるものが、共に愛に満ちて生きる夢を。
世界中の人々が戦禍に怯えることなく、安心して暮らせる夢を。
飢えや貧しさ、差別や孤独に苦しむことなく、満ち足りて生きる夢を。
人と自然が共生し、美しい地球が永遠に続く夢を。

 


みんなはひとつ。そして、地球はひとつ。
21世紀は地球市民の時代。私たちに国境はない。
手と手を携え、心と心を結ぼう。
愛と慈しみに溢れた世界に向けて、平和の扉を開こう。

 

いま私たちは、深刻な危機と行き詰まりに直面し、人類の将来を左右する岐路に立たされている。
地球規模の環境破壊、途上国の食糧不足と貧困、エネルギー問題、戦争やテロ、経済危機などが世界を覆っている。
日本国内でも、先行きが見えない経済・社会・政治的問題を抱え、多くの人々が、希望や生きがいを喪失し、無関心とあきらめに陥っている。

 

これらを生み出す根本原因は何か?
それは、世界を覆っている自己中心的な考え方、人間のエゴイズムだ。
つまり、自分さえ、家族さえ、組織さえ、自国さえよければという考え方が、限りない欲望、過剰な競争と奪い合いのモンスターを生み出し、人と人、自然と人とのいのちの絆を断ち切ってきた。
その中で決定的な力を持つのが「国家エゴイズム」の存在である。

 

個人や組織などが与える影響に比べて、国家の基本的な姿勢とその決定こそが、世界のあり方に対して圧倒的な力を持っている。
国家こそが、他国に宣戦を布告し、環境や福祉、経済政策の方向性を決定するなど、世界にきわめて大きな影響を与えているのだ。

 

「みんなはひとつ。そして、地球はひとつ」という意識こそが、世界平和実現のための原点である。 しかしながら、国家という現実的な力を考慮せずに、個人や団体の意識変革に頼るだけでは、世界の流れは根本的には変わらない。
それゆえに、人類史上多くの心ある人々の努力にもかかわらず、今日まで真の平和な世界を実現することができなかったのだ。

 

いまこそ、発想を転換しよう。個人の悩みや苦しみ、国内のさまざまな混乱、そして戦争や環境破壊などによる人類社会の行き詰まりを解決する唯一の道は、”国家エゴイズムを超える” ということだ。

 

これまでの歴史の因果の外に立ち、人類史上はじめて根本的解決への流れをつくろう。母なる地球に生まれゆく子どもたちのために、輝かしい未来を創造していくのだ。

 

私たちの国は、平和を選ぶのか、戦争を選ぶのか。自然と共に生きる道を選ぶのか、共に滅びる道を選ぶのか。
どれだけ国家エゴイズムを追求しても、世界の真の平和、自国の真の繁栄、個人の真の幸福を築くことはできない。

 

国家エゴイズムを超えて、自衛のための戦争も含め、すべての戦争を自ら放棄しよう。共生と利他の精神にもとづく平和的な手段によって世界の諸問題の解決に貢献し、真の世界平和の実現を目指そう。
多くの国々がこの理想を掲げる時、数千年にわたって人類を束縛してきた国家間の対立は著しく緩和し、真の世界平和の実現に向けて大きく前進するだろう。

 

その最初の一歩を、日本から始めようではないか。
日本は世界で唯一の戦争における核兵器の被爆国だからこそ、私たちは真の平和を心から願ってやまない。
日本はすでに現行の平和憲法において、平和を愛する世界の人々の正義と誠意を信頼して、武力を放棄し、平和的な手段で、世界の平和と繁栄に貢献する国づくりを進めていくことを誓った。

 

この平和憲法は、日本だけでなく、人類全体に与えられた、最高の宝物である。
しかしながら、この憲法の真の精神はいまだ十分に具現化されているとはいえない。
私たちはあらためて、この平和憲法の精神を積極的に活かし、真ごころを丸出しにして、世界の諸問題の解決に国の総力をあげて貢献することで、真の世界平和の実現を目指そうではないか。
日本が政治・経済・科学・技術など国の総力をあげて、地球の環境保全と人類の福祉のために尽くす「国際環境平和国家」を国の理想として掲げよう。
まず日本が世界の国々に先駆けて脱国家エゴイズムへの道を切り拓くのだ。

 

日本に脱国家エゴイズムへの理想が掲げられれば、世界はこの新しい日本を軸として輝かしい共生の精神に基づいた世界へと大きく転換するだろう。
そのために、まずこの考えに賛同する人々と協力し、日本が自ら率先して国家エゴイズムを放棄することで、世界の平和実現に全力をあげて貢献するという、人類史上かつてない新たな「気運」を生み出そう。
私たち一人ひとりが自らその担い手となり、世界の同胞と共に手を携え、叡知を結集して、この崇高な理想を達成しようではないか。

 

いまこそ、決断しよう。
自分や自分の家族のためだけではなく、自分の会社や組織のためだけではなく、そして、自分の国のためだけではなく、
自ら、世界の平和のために、人類の福祉のために、生きとし生けるものの平安のために尽くすことを。
個人の努力、国家の理想、人類の願いが一つになる生き方を。
自己犠牲ではなく、心の奥底から湧き上がってくる声に従い、他と共に生きる道を選ぶのだ。
人間本来の喜びは、私たちの内側にある利他・共生本能を生かし、自分と他の人びとが協力して、世の中全体に幸せをもたらすときに実感できる。
日々の自分の勉強や仕事が、日本を生き生きとさせることにそのままつながり、それが真の世界平和に直結することが、私たち一人ひとりの本当の生きがいとなるのではないだろうか。
その要となるのは、日本の国に「国家エゴイズムを超える」という理想を掲げることだ。

 

この呼びかけが希望の火となって世界中に燃え広がり、国家のエゴイズム、さらにはあらゆるエゴイズムをも溶かし、人類の長い歴史の中ではじめて、一体・共生の新たな文明が切り開かれることを、私たちは心から願う。

 

共に立ち上がり、未来の世代へ愛に満ちた平和な世界を手渡そう。それこそ、この世に生を受け生きる人として真の生きがい、真の幸せではないだろうか。